境界の問題がある土地

境界の話が進まないのは、技術の問題だけではないことがある。

境界が決まらない理由は、測量の難しさだけにあるとは限りません。隣地との関係や、これまでの経緯が、進み方に影響していることがあります。

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この状態で起きること

売却の話が出てから、境界が確定していないと分かる

売却の話が進み始めると、買主から確定測量を求められることが一般的です。そこで初めて、境界標が現地にないこと、隣地との合意が取れていないことが見えてくるケースがあります。売却の話が動き出した後で発覚すると、契約のスケジュールそのものが組み直しになることもあります。

建替えの設計段階で、面積の根拠が問われる

建替えを検討する段階で、建築士から正確な面積を求められることがあります。登記簿の面積と実測の面積に差があると、建ぺい率や容積率の計算が変わり、設計のやり直しにつながります。このとき、境界そのものの根拠が問われます。

相続で土地を引き継いだが、境界の記録が見当たらない

親の代から続いている土地では、過去の測量資料や境界の合意書が残っていないことがあります。当時は隣地の所有者同士で口頭の了解があった、というケースもあります。引き継いだ世代が境界を確認しようとすると、根拠そのものを最初から組み直す必要が出てきます。

隣地と話せる関係になっていない

立会いには、隣地の所有者の協力が必要です。ただし、長年の経緯や世代交代によって、立会いを依頼できる関係になっていないことがあります。技術的には可能でも、関係の部分で進まない状況が生まれます。

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なぜ前に進まないのか

境界には、技術・法律の層と、関係性の層がある

測量、登記、筆界特定といった技術と法律の領域は、土地家屋調査士などの専門家が対応できます。一方で、立会いの依頼、合意の形成、書面への署名は、最終的に当事者本人の関係に依存します。この二つの層が同時に動かないと、境界は前に進みにくい構造になっています。

技術の側だけ進めても、合意がなければ確定しない

測量の精度が高くても、隣地の所有者の合意が取れなければ、境界として確定しません。逆に、関係が良好でも、過去の資料がなければ何を基準に合意するかが決まりません。両方が揃って初めて、境界は動き出します。

世代が変わると、関係者の構成も変わる

土地は世代をまたいで引き継がれます。当初の当事者から相続人へ、さらに次の世代へと、関係者の構成は変わっていきます。関係者が増えるほど、合意のための調整は複雑になります。最初に関わっていた人がいなくなると、当時の経緯そのものが残らないこともあります。

立会いに応じてもらえるかは、専門家が代行できない領域

測量の依頼、書類の作成、登記の手続きは、専門家が代わりに進められます。ただし、隣地の所有者に立会いを依頼することや、関係を整えることは、当事者本人にしかできない部分があります。ここは技術の問題ではなく、関係の問題として、別に向き合う必要があります。

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確認すると、どうなるか

現地の境界標と図面の整合が確認できる

現地に境界標があるか、ある場合は図面と一致しているか、無くなっている場合は復元できる資料があるかを確かめます。これは技術と資料の領域なので、専門家が単独で進められる部分です。この確認だけで、何が揃っていて、何が足りないかが見えてきます。

過去の測量資料・登記資料が一覧になる

地積測量図、登記簿、公図、過去の境界確認書などを集めて、一覧にします。資料が揃っていればそれを基準にできますし、揃っていなければ、何から組み直す必要があるかが分かります。資料の有無を確かめることは、関係者と話す前の前提を整える作業でもあります。

隣地との関係の現状が把握できる

隣地の所有者との接点があるかどうか、世代が変わっていないか、過去の経緯にわだかまりがないか——こうした関係の状態は、立会いに進めるかどうかを左右します。直接の話に入る前に、現状を把握しておくことで、進め方の選択肢が変わります。

順序(測量先行か、関係先行か)が見える

資料が揃っていて関係も良好なら、測量から進められます。資料はあるが関係が難しい場合は、関係の部分を先に置くこともあります。資料も関係も揃っていない場合は、まず資料の確認から始めることになります。どの順序で進めるかは、状況によって変わります。

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次の一手

進む方向は、おおむね三つに分かれます。どの方向にも、現状の把握が前提になります。

はっきりしていないことでも、そのままで構いません。

→ まず、現状を確かめてみる

資料は不要です。今の状況をお聞きするところから始めます。