地代の話が噛み合わない理由

地代をいくらにするかという話は、借地に関わるなかで最も頻度の高い論点です。

ところが、改定の話し合いを始めても、双方が出してくる金額に大きな開きが出て前に進まないことがあります。

この開きの多くは、地代の算定基準が一つではないことから生まれています。

地代には複数の算定基準が並存している

地代の金額には、これが唯一の正解という基準がありません。実務では、複数の方式が同時に使われており、それぞれに合理性があります。

主に参照される基準は次のとおりです。

固定資産税倍率法(公租公課倍率法)
固定資産税・都市計画税の年額をもとに、住宅用なら3〜5倍、事業用なら5〜8倍程度で算出する方式。最低限の対価としての側面を持つ。
収益還元法
土地の価格に対する利回りで算出する方式。住宅用なら底地価格の1.5〜3%、事業用なら更地価格の2〜4%程度が参照される。
路線価ベース
路線価をもとに、土地の評価額に対する一定割合(0.5〜1.5%程度)で算出する方式。
近隣事例比較
近隣の同種の借地がいくらで貸されているかを参照する方式。地域の相場感に近いが、契約条件が違うと比較が難しい。
継続性の慣行
過去の地代額を起点に、物価や近隣変動を反映させて少しずつ改定していく方式。長期的な信頼関係に基づく。

これらは、どれか一つだけが正しいわけではなく、状況や立場によって参照されやすいものが違います。

立場によって参照される基準が違う

地代の話し合いで噛み合わなくなる構造は、双方が違う基準を参照しているところから生まれます。

地主側は、土地の資産価値や近隣の取引相場を意識しやすい立場にあります。固定資産税が上がれば負担も増え、近隣で高い地代の事例があればそれが基準になります。

借地人側は、長期にわたる支払い継続性を意識しやすい立場にあります。過去の地代額からの変化幅、生活や事業の収支に占める負担割合、これまで支払ってきた経緯。これらが判断の重要な要素になります。

同じ「適正な地代」という言葉を使いながら、地主は資産対価の物差しで、借地人は継続性の物差しで考えている。物差しが違えば、出てくる数字が違うのは自然なことです。

整理するとどうなるか

地代の話を進めるときに最初にすべきは、双方が今どの基準で数字を出しているかを並べて見ることです。

地主側の根拠と借地人側の根拠をそれぞれ書き出して、どの基準を参照しているかを確認します。固定資産税の何倍か、収益還元か、近隣�