そもそも何を基準に話しているのかが違う
借地の話し合いで地代・更新料・承諾料のいずれを扱っていても、ある共通の構造があります。
同じ言葉で議論しているのに、双方が違う基準を頭の中で動かしているという状態です。
この共通の構造を見ると、なぜ借地の話が止まりやすいかが見えてきます。
借地の金額には複数の基準が同時に存在する
借地に登場する金額には、地代・更新料・各種承諾料・借地権価格などがあります。これらに共通するのは、いずれも法律上の唯一の算定基準が定められていないことです。
結果として、実務では複数の基準が同時に並び立っています。
- 固定資産税基準
- 固定資産税・都市計画税の金額を起点に算出する考え方。地代の最低水準として参照されることが多い。
- 利回り基準
- 土地の価格に対する利回りで考える方式。収益還元法もこの考え方の一種。
- 継続慣行基準
- 過去にどう支払われてきたかを起点に、変動を反映させる考え方。長期の関係性を重視する。
- 市場比較基準
- 近隣の同種の借地がいくらで貸されているかを参照する考え方。地域相場との整合性を意識する。
- 路線価基準
- 路線価ベースで土地の価格を見立て、その一定割合で算出する考え方。税務評価との整合性を意識する。
地代も、更新料も、承諾料も、いずれもこれらの基準のいくつかを組み合わせながら個別に決まっていきます。基準ごとに出てくる数字は違うので、参照する基準が違えば、出てくる金額も大きく違います。
なぜ立場によって参照する基準が違うのか
地主と借地人は、同じ借地について話しているのに、それぞれ違う基準を手に取りやすい状況にあります。
地主側は資産の所有者として、土地の価値や近隣相場を意識しやすい立場にあります。固定資産税が上がれば負担も増えるため、固定資産税基準も意識します。市場比較や路線価ベースの考え方も、自然に頭に入ってきやすい立場です。
借地人側は使用者として、これまで支払ってきた経緯や生活・事業の収支を意識しやすい立場にあります。継続慣行基準が判断の中心になりやすく、急激な金額変動には抵抗感を持ちます。
双方とも自分の立場に応じた基準を参照しているのは自然なことです。ただし、その基準が違っていることに気づかないまま話し合うと、同じ「相場」「適正額」という言葉を使いながら違う数字を話している状態になります。
整理するとどうなるか
借地の金額の話を進めるときは、最初に「双方が今どの基準で考えているか」を並べて見ることが整理の出発点です。
地主側が固定資産税倍率で考えているのか、市場比較で考えているのか、路線価ベースで考えているのか。借地人側が継続慣行で考えているのか、生活・事業の収支で考えているのか。これを明示的に並べることで、参照している物差しが違うことが見えて�