更新の話し合いをしているのに、どこかで「見ているものが違う」と感じる場面があります。
地主は何か決める場として話し合いに来ています。借地人はこれまでと変わらないはずだという前提で来ています。
この感覚のズレは、「更新」という言葉に対する理解の違いから来ていることがあります。
こういう会話が止まる
地主:「今回の更新のタイミングで、一度条件を整理したい。」
借地人:「条件を整理するというのは、どういうことですか。」
地主:「地代の水準や期間について、改めて話し合いたい。」
借地人:「今まで問題なくやってきたのに、なぜ今更変える必要があるのですか。」
地主:「更新という節目だからこそ、確認しておきたい。」
借地人:「更新はこれまで通り続けることだと思っていました。」
どちらも「更新」という言葉を使っています。しかし、その言葉が指している内容が、はじめから違います。
地主にとっての更新は「条件を見直す節目」です。借地人にとっての更新は「利用関係がそのまま続くこと」です。
同じ言葉でも中身が揃っていないまま、話し合いが進んでいます。
「更新」という言葉の意味が揃っていない
更新をめぐる話し合いには、いくつかの認識のズレが重なっています。
節目として見るか、継続として見るか
地主にとって更新は、契約関係を仕切り直す機会です。条件の見直し、更新料の設定、期間の確認をする場として捉えていることがあります。一方、借地人にとって更新は、これまでの利用関係が続くことを意味していることが多いです。「問題なく使ってきた以上、更新は当然のことだ」という感覚はここから来ています。
何が変わると思っているか
地主側は、更新によって地代・期間・条件が見直される可能性があると考えていることがあります。借地人側は、更新によって何かが変わることを想定していないことがあります。「更新時に条件が変わる可能性がある」という認識そのものが、揃っていないことがあります。
期間についての認識
更新後の借地期間について、双方の認識が違っていることがあります。旧借地法と現行の借地借家法では更新後の期間の扱いが異なり、どちらの法律が適用されるかによっても変わります。「更新で何年になるか」という点が、確認されないまま話が進むことがあります。
更新料の位置付け
更新料を支払うことが「条件変更なく続けるための対価」なのか、「新しい契約条件を受け入れることへの同意」なのかで、意味が変わります。どちらの理解で更新料を考えているかが揃っていないと、金額の前で話が止まります。更新料の根拠のズレについても、あわせて確認してみてください。
更新をめぐる話し合いは、「更新という言葉が何を意味しているか」が揃わない限り、成立しない構造になっています。
なぜ認識のズレが生まれやすいのか
借地の更新は、多くの場合、何十年かに一度です。前回の更新が誰によって、どう行われたかを、当事者が覚えていないことがあります。あるいは、当時の当事者が変わっていることもあります。
地主の跡を継いだ人、借地人の子世代が引き継いだ人。そのどちらも、前回の更新の経緯を知らない状態で話し合いに臨むことがあります。
前回どうだったかという実績がない状態で、「更新とは何か」という前提を各自がもち込むと、認識のズレがそのまま会話に出てきます。
整理するとわかること
更新の話し合いを始める前に、確認できることがあります。
- 契約書はどこに、何が書かれているか
- 前回の更新はいつ、どういう形で行われたか
- 更新後の期間や地代について、何か記録が残っているか
- 地主側が「節目」として何を確認したいと思っているか
- 借地人側が「継続」として何を前提にしているか
これらを整理すると、「何について話し合おうとしているか」が見えてきます。
更新という言葉の意味が揃った状態ではじめて、地代・期間・条件の話し合いができる状態になります。
おわりに
更新をめぐる話し合いが止まるとき、相手が合意する気がないと感じることがあります。
ただ、相手は「更新とはこういうものだ」という別の前提から話しています。前提が違うまま話し合っても、結論を出すことが難しくなります。
更新という言葉が双方で何を指しているかを把握することが、次の判断につながります。
この記事のポイント
- 更新の話し合いが噛み合わない原因の一つは、「更新」という言葉に対する認識の違いにある
- 地主にとっての更新は「条件を見直す節目」であり、借地人にとっては「利用関係がそのまま続くこと」であることが多い
- 更新時に何が変わるか、期間はどうなるか、更新料の意味は何かという点で、双方の認識が揃っていないことがある
- 前回の更新の経緯が記録されていない、または当事者が変わっているケースでは認識のズレが生まれやすい
- まず「更新で何が変わると考えているか」を整理することが、具体的な条件の話し合いの出発点になる
状況によって前提が異なるため、一つの正解があるわけではありません。整理することで、次に何をすべきかが見えてくる可能性があります。
借地の整理で迷っている方へ
e不動産屋株式会社
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