名義変更のときに止まる理由

借地の名義変更が話題になったとき、相続なのか売買なのかで法律上の扱いは大きく違います。

ところが、現場では同じ「名義変更」として捉えられて議論が始まり、途中で噛み合わなくなることがあります。

名義変更の話が止まるのは、変更の性格そのものの捉え方が分かれているからです。

名義変更の場面には種類がある

借地の名義が変わる場面は、いくつかの種類に分かれます。それぞれ、地主の承諾の必要性や承諾料の発生有無が違います。

第三者への売却・譲渡
借地権を第三者に売却する場合。地主の承諾が必要で、譲渡承諾料(名義書換料)が発生する。一般的には借地権価格の5〜15%程度のレンジ。
生前贈与
親から子などへの生前の贈与。譲渡として扱われ、地主の承諾と承諾料が必要になる。
遺贈
遺言によって法定相続人以外に借地権を引き継ぐ場合。譲渡として扱われ、承諾と承諾料が発生する。
相続(法定相続人による承継)
法定相続人が相続によって借地権を引き継ぐ場合。譲渡には該当せず、地主の承諾は法律上不要。承諾料の支払い義務もない。ただし、契約書の書き換えや実費的な手数料の支払いが慣行としてあることはある。

同じ「名義変更」と呼ばれていても、譲渡として扱われるものと、承継として扱われるものでは、法律上の扱いが大きく違います。

地主側と借地人側で重さの捉え方が違う

名義変更の話で噛み合わないとき、その背景には双方の捉え方のズレが多くあります。

地主側にとって、借地人が変わることは新しい関係の始まりとして受け止められます。これまで関係を築いてきた借地人とは違う人物が新たに借地人になるということは、信頼関係を一から構築し直すことを意味します。承諾を求められる側として、相手がどういう人物か、これまでの契約条件をそのまま引き継ぐかを確認したい立場にあります。

借地人側にとって、名義変更は手続き的なものとして捉えられやすくなります。相続なら自然に発生する事象であり、売却なら経済的な判断による行為です。「土地を借りている関係」自体が変わるわけではないという感覚があります。

地主側が「新しい関係への切り替わり」として捉え、借地人側が「同じ関係の名義だけの変更」として捉える。この捉え方の差が、承諾料の議論や契約条件の確認のところで顕在化します。

整理するとどうなるか

名義変更の話を進めるときは、まずどの種類の名義変更なのかを確定させます。第三者への売却なのか、相続なのか、贈与なのか、遺贈なのか。種類によって法律上の扱いが違うため、これを揃えないと議論が始められません。

相続による名義変更であれば、譲渡承諾料の支払い義務は法律上ありません。ただし、地主との関係を保つために契約書を書き換える場合に、実費的な少額の支払いが慣行として行われることはあります。これは譲渡承諾料とは別の性格のものです。

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