金額ではなく前提がズレているケース

借地の話し合いが止まっているとき、お金の額面だけを見ていても進まないことがあります。

金額の手前で、何かが揃っていないまま話だけが進んでいる状態です。

その「何か」を分解していくと、4つの前提がズレていることが多くあります。

金額の手前にある4つの前提

借地について地主と借地人が話すとき、表面上の論点は金額になります。地代をいくらにするか、更新料をどうするか、承諾料は妥当か。ところが、金額の議論を始めたものの、話がかみ合わないまま時間が過ぎる。こうした状態は、金額そのものではなく、その手前にある前提が揃っていないことで起きています。

前提のズレには、主に4つの種類があります。

基準のズレ
地主と借地人が、それぞれ異なる物差しで金額を算出している。固定資産税倍率、近隣相場、路線価ベースなど、参照する基準が違う。
目的のズレ
双方が話し合いに求めるゴールが異なる。地主は適正な対価への調整を求め、借地人は継続的な使用関係の維持を求めている。
立場のズレ
同じ事象を、それぞれ違う立場から見ている。地主は資産の管理者として、借地人は生活や事業の場として土地を捉えている。
時間軸のズレ
判断の時間軸が違う。地主は次の更新までを考え、借地人は今後数十年の使用を考えていることがある。同じ判断でも見ている時間幅が違う。

この4つは、どれか一つだけ起きるのではなく、同時に重なっていることが多くあります。

なぜ前提のズレが見えにくいのか

借地の話し合いでは、双方とも自分の前提が「当然のもの」として頭の中にあります。地主には地主の常識があり、借地人には借地人の常識があります。話す側にとって、その前提は意識して説明するものではなく、暗黙のうちに共有されているはずのものになっています。

ところが、暗黙のうちに共有されているはずの前提は、実際には立場ごとに違っています。地主は「これくらいの金額が常識」と思い、借地人は「この金額は続けられる範囲」と思う。どちらも自分の中では筋が通っているのに、話が噛み合わないという状態が生まれます。

前提が違うことに双方とも気づかないまま、金額の議論だけが先行する。これが借地の話し合いで起こりがちな構図です。

整理するとどうなるか

前提のズレを整理するときは、いきなり金額を動かそうとせず、4つの前提を一つずつ見ていきます。

まず基準のズレから確認します。双方が今どの物差しで数字を出しているかを並べて見ると、同じ「相場」と呼んでいるものが違う数字を指していることが見えてきます。

次に目的のズレを確認します。話し合いで何を解決したいのか、双方