相続が絡む土地について

相続財産の中に、土地や建物があるとき。分け方を決める前に、確認しておくことがあります。

相続財産には、預貯金や保険、不動産、債務、税金など、さまざまなものがあります。その中で、土地や建物は現金のように簡単に分けることができません。誰が引き継ぐのか、売るのか、住み続けるのかを考える前に、土地と建物の状態を確認しておくことがあります。

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この状態で起きること

どの不動産が相続に関係するのか分からない

親が所有していた不動産のうち、どこに、どんな土地や建物があるかが手元の情報だけでは分からないことがあります。登記情報や固定資産税の通知書を照合しながら、最初に確認していきます。

親の代、祖父母の代から名義が変わっていない

何代も前の名義のままになっている土地は、関係する相続人が増え続け、現在の権利関係を把握すること自体が難しくなっていきます。

相続人の間で意見がまとまらない

土地を売りたい人、住み続けたい人、使い道を決めかねている人——立場や事情が異なると、合意までに時間がかかります。同居していた人と、別に暮らしていた人で考えが違うこともあります。

共有名義になる、または共有のまま残っている

合意がまとまらないまま、共有名義で登記されることがあります。また、過去の相続で共有になったまま、その後の判断が進まないこともあります。共有になると、売却や活用の判断に全員の同意が必要になる場面が増えます。

建物や土地の利用状況が分からない

建物が建っているか、誰かが住んでいるか、貸しているか、空き家になっているか——現地を見ないと分からない状態が続いていることがあります。

借地・底地が絡んでいることが分かった

相続財産の中の土地が、誰かに貸している土地(底地)だったり、借地上の建物だったりすることがあります。契約書がどこにあるか分からないこともあります。

境界や面積、道路の状況が分からない

境界杭が見当たらない、登記簿上の面積と実態が異なる、隣地所有者と連絡が取れない——遺産分割や売却の前提として確認が必要になります。

売るのか、持つのか、誰が引き継ぐのかが決まらない

土地と建物の状態が見えないと、売る・持つ・誰が引き継ぐのかも判断できません。「決められない」状態が続くこと自体が、相続した不動産の典型的な姿でもあります。

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なぜ前に進まないのか

相続人の間で、話がまとまらないことがある

相続財産の中心が親の家だけ、または親の家が中心の場合、現金のように単純に分けることができません。土地を残したい人、現金化したい人、住み続けたい人——全員の同意が必要な場面では、一人でも反対があると話が進みません。

世代や住んでいる場所が違うと、土地への思い入れも異なります。同居していた人と、別に暮らしていた人で考えが違うこともあります。子ども本人同士は仲が良くても、それぞれの配偶者や生活事情が関わると、合意形成に時間がかかります。

長い間、名義や権利関係がそのままになっていることがある

相続が発生してから何年も、ときには何十年も、名義の変更や権利関係の確認が行われずに続いていることがあります。配偶者が住み続けているうちは、問題が表面化しにくく、そのまま時間が経ってしまうことがあります。

放置している間に、関係する相続人がさらに亡くなり、相続人が増えていきます。気がつくと、何代も前の名義のままで、現在の権利関係を把握すること自体に時間がかかる、という状態になります。

土地の現況や境界が分からないことがある

土地の現況確認は、書類だけでは完結しません。建物の状態、誰が使っているか、境界杭の有無、隣地との関係、道路への接道——現地で確認しなければ分からない情報があります。遠方の土地や、長く立ち入っていない土地では、現況の確認に時間がかかります。書類が手元にあっても、実態と一致しているとは限りません。

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確認すると、どうなるか

遺産分割で不動産をどう扱うかを考える前に、確認しておきたい論点があります。相続税の申告や相続登記には期限があるため、土地と建物の状態確認は後回しにしすぎないことが大切です。

土地と建物の状態を一つずつ確認していくことで、売る・持つ・誰が引き継ぐといった判断の前提が揃います。

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次の一手

進む方向は、おおむね三つに分かれます。どの方向にも、現状の把握が前提になります。

はっきりしていないことでも、そのままで構いません。

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資料は不要です。今の状況をお聞きするところから始めます。