相続が絡む土地について
相続財産の中に、土地や建物があるとき。分け方を決める前に、確認しておくことがあります。
相続財産には、預貯金や保険、不動産、債務、税金など、さまざまなものがあります。その中で、土地や建物は現金のように簡単に分けることができません。誰が引き継ぐのか、売るのか、住み続けるのかを考える前に、土地と建物の状態を確認しておくことがあります。
01
この状態で起きること
どの不動産が相続に関係するのか分からない
親が所有していた不動産のうち、どこに、どんな土地や建物があるかが手元の情報だけでは分からないことがあります。登記情報や固定資産税の通知書を照合しながら、最初に確認していきます。
親の代、祖父母の代から名義が変わっていない
何代も前の名義のままになっている土地は、関係する相続人が増え続け、現在の権利関係を把握すること自体が難しくなっていきます。
相続人の間で意見がまとまらない
土地を売りたい人、住み続けたい人、使い道を決めかねている人——立場や事情が異なると、合意までに時間がかかります。同居していた人と、別に暮らしていた人で考えが違うこともあります。
共有名義になる、または共有のまま残っている
合意がまとまらないまま、共有名義で登記されることがあります。また、過去の相続で共有になったまま、その後の判断が進まないこともあります。共有になると、売却や活用の判断に全員の同意が必要になる場面が増えます。
建物や土地の利用状況が分からない
建物が建っているか、誰かが住んでいるか、貸しているか、空き家になっているか——現地を見ないと分からない状態が続いていることがあります。
借地・底地が絡んでいることが分かった
相続財産の中の土地が、誰かに貸している土地(底地)だったり、借地上の建物だったりすることがあります。契約書がどこにあるか分からないこともあります。
境界や面積、道路の状況が分からない
境界杭が見当たらない、登記簿上の面積と実態が異なる、隣地所有者と連絡が取れない——遺産分割や売却の前提として確認が必要になります。
売るのか、持つのか、誰が引き継ぐのかが決まらない
土地と建物の状態が見えないと、売る・持つ・誰が引き継ぐのかも判断できません。「決められない」状態が続くこと自体が、相続した不動産の典型的な姿でもあります。
02
なぜ前に進まないのか
相続人の間で、話がまとまらないことがある
相続財産の中心が親の家だけ、または親の家が中心の場合、現金のように単純に分けることができません。土地を残したい人、現金化したい人、住み続けたい人——全員の同意が必要な場面では、一人でも反対があると話が進みません。
世代や住んでいる場所が違うと、土地への思い入れも異なります。同居していた人と、別に暮らしていた人で考えが違うこともあります。子ども本人同士は仲が良くても、それぞれの配偶者や生活事情が関わると、合意形成に時間がかかります。
長い間、名義や権利関係がそのままになっていることがある
相続が発生してから何年も、ときには何十年も、名義の変更や権利関係の確認が行われずに続いていることがあります。配偶者が住み続けているうちは、問題が表面化しにくく、そのまま時間が経ってしまうことがあります。
放置している間に、関係する相続人がさらに亡くなり、相続人が増えていきます。気がつくと、何代も前の名義のままで、現在の権利関係を把握すること自体に時間がかかる、という状態になります。
土地の現況や境界が分からないことがある
土地の現況確認は、書類だけでは完結しません。建物の状態、誰が使っているか、境界杭の有無、隣地との関係、道路への接道——現地で確認しなければ分からない情報があります。遠方の土地や、長く立ち入っていない土地では、現況の確認に時間がかかります。書類が手元にあっても、実態と一致しているとは限りません。
03
確認すると、どうなるか
遺産分割で不動産をどう扱うかを考える前に、確認しておきたい論点があります。相続税の申告や相続登記には期限があるため、土地と建物の状態確認は後回しにしすぎないことが大切です。
土地と建物の状態を一つずつ確認していくことで、売る・持つ・誰が引き継ぐといった判断の前提が揃います。
-
01
相続財産の中に、どの不動産があるかを確認する
相続財産には、不動産以外にもさまざまなものがあります。その中で、土地や建物について、どこに、どのような不動産があるかを確認します。登記情報、固定資産税の通知書、契約書類などを照合しながら、所在・建物の有無・面積・名義・利用状況を確認するところから始まります。
-
02
相続人・関係者を整理する
誰が相続人になるかを把握し、それぞれの意向を確認します。複数の相続人がいる場合、共有状態になるとその後の判断に全員の同意が必要になります。共有解消の方向を考えたい場合は、共有名義の土地のページもあわせて参照できます。
-
03
土地と建物の現況を確認する
土地と建物の現状を把握します。建物が建っているか、誰が使っているか、貸しているか、空き家になっているか——書類だけでなく現地で確認します。誰かが住んでいる建物がある場合、その人の生活との関係を考えながら判断する必要があります。
-
04
境界・面積・道路を確認する
境界が確定しているか、面積が登記簿と実態で一致しているか、道路への接道が確保されているかを確認します。売却や建替えの前には、測量や境界確認が必要になることがあります。隣地所有者との確認が必要な場合、境界が不明な土地のページもあわせて参照できます。
-
05
借地・底地・共有などの権利関係を確認する
相続財産の中の土地が、貸している土地(底地)だったり、借地上の建物だったり、共有名義になっていたりする場合、契約・権利関係の確認が必要です。借地が絡む場合は借地について、底地が絡む場合は底地・貸宅地についてのページもあわせて参照できます。
-
06
売る・持つ・誰が引き継ぐかの判断材料を整理する
土地と建物の状態が把握できた上で、遺産分割で売却・保有・誰が引き継ぐかを判断します。売却を考える場合は現況・境界・権利関係を整えた上で市場に出すことになります。誰かが引き継いで持つ場合は固定資産税・管理費用との関係を、活用する場合は駐車場・賃貸・建替えなどの選択肢を考えます。
-
07
必要に応じて専門家と連携する
相続では、相続税の申告・納付期限や、相続登記の期限など、時間を意識して進める手続きがあります。税務申告は税理士、相続登記は司法書士、境界確認・測量は土地家屋調査士、土地と建物の現況確認や売却・活用の相談は不動産会社の専門領域です。それぞれの専門領域は異なるため、論点に応じて適切な専門家と確認しながら進めます。当社では、不動産会社の立場から、土地と建物の現況確認、売却・活用の前提となる情報の整理を行います。
このカテゴリの記事
04
次の一手
進む方向は、おおむね三つに分かれます。どの方向にも、現状の把握が前提になります。